ハミガキのし過ぎで歯が悪くなる!?オーバーブラッシングについて
こんにちは。下高井戸のカズデンタルクリニックです。
「毎日欠かさずに念入りにハミガキしているのに、歯がしみるように痛む」
「きちんとハミガキしているのに、最近、歯茎が下がってきたように感じる」
このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
最近ではオーラルケアへの関心も高まり、念入りにハミガキを行っているという方も多くなっているように感じます。
しかしながら一方で、ブラッシングを過度に行ってしまう「オーバーブラッシング」により口腔内のトラブルが引き起こされてしまっているケースも多々見かけます。
そこで本日は、そんなオーバーブラッシングの症状と対策についてご紹介させていただきます。
オーバーブラッシングとは?
オーバーブラッシングとは、歯を磨くときに力を入れすぎたり、長時間磨き続けたりすることで、歯や歯茎に過度な負担がかかってしまい、さまざまなお口のトラブルを引き起こしてしまうことを言います。
歯をキレイにするために頑張って磨いているのに、逆効果となってしまっては悲しいですよね。
オーバーブラッシングは、正しい歯の磨き方、正しい歯ブラシの選び方を実践すればキチンと防ぐことができます。
オーバーブラッシングがもたらす歯への悪影響
知覚過敏の原因になる
お口のケアに熱心な人ほど、より汚れや着色を落とそうとしてゴシゴシ強くブラッシングしがちです。
ですが、過度な力で磨きすぎると、オーバーブラッシングによって歯の表面のエナメル質が削られて、その下にある象牙質という組織がむき出しになってしまいます。
それにより「冷たいものなどの刺激で歯がしみる!」といった知覚過敏の症状が出てきてしまいます。
エナメル質は一度削られてしまうと再生することができません。磨くときの力加減はもちろん、研磨作用の強すぎる歯磨き粉もエナメル質を傷つける原因となりますので注意が必要です。
知覚過敏になってしまったら?
1.知覚過敏用の歯みがき粉を使う
知覚過敏に効く薬用成分が含まれており、継続して使用することで改善されます。
特にしみると感じる部分に、しっかり歯みがき粉を塗るように使用するとよいでしょう。
2.歯科でコーティングを塗ってもらう
しみる部分を保護する薬用コーティング剤があり、症状を軽減させます。
はがれてしまうと再びしみることもあるので、その場合は再度塗り直します。
歯茎が痩せて虫歯になりやすくなってしまう(歯肉退縮・根面う蝕)
歯茎の痩せは加齢や歯周病が原因の場合もありますが、オーバーブラッシングによるハミガキの刺激で歯茎に傷がつき、歯茎が下がってしまうこともあります(歯肉退縮)。
歯の根っこの部分は通常は歯茎に埋まっている部分のため、エナメル質で覆われてはいません。
そのため、歯の質がやわらかく汚れがつきやすいので、虫歯(根面う蝕)や知覚過敏にかかりやすくなってしまうのです。
「ハミガキのし過ぎで虫歯になる」というと不思議に思う方もいらっしゃると思いますが、事実、歯の根元が露出してしまった人は、露出していない人に比べて、5年後に根面う蝕になるリスクが3倍高いというデータも発表されています。
オーバーブラッシングを防ぐには?
自分に合った歯ブラシを選ぶ
現在はドラックストアなどでもさまざまなタイプの歯ブラシが販売されていますが、自分に合っていない歯ブラシを使うと十分に歯垢を落とせずに予防の効果が得られないばかりか、歯や歯茎を傷つけてしまい、かえって口腔トラブルのリスクを増やしてしまうことになりかねません。
口と歯の状態は1人1人違うため、自分の口と歯の状態に合った歯ブラシを選ぶことが大切です。
歯ブラシの毛先の形(細さ等)について
ヘッドの1本1本の毛先の形にはたくさんの種類があり、円状(ラウンド毛)、テーパード状(毛先が細くなっているもの)、先端極細加工、ヘラ状、斜め、水平、球状など、各メーカーからさまざまなタイプのものが発売されています。
ここでは、なかでも代表的な「ラウンド毛」「テーパード毛」についてご紹介します。
「ラウンド毛」
ラウンド毛は、虫歯になりやすい方におススメの歯ブラシです。
ラウンド毛は基本的な歯ブラシ毛で、根本から毛先まで均等な太さで、毛先が丸くなっています。
歯の表面にに接触する面積が多いので汚れが落ちやすく、効率よく歯垢を除去できます。
コシが強く、効率よく汚れを落とすことができますので健康な歯の人には最適な歯ブラシ毛ですが、歯肉炎や歯周炎などで歯肉が腫れている方はラウンド毛の歯ブラシで強い圧をかけて磨いてしまうと、歯肉を傷つける可能性があります。
「テーパード毛」
ラウンド毛は、歯茎の弱い方や歯周病が進行している方におススメの歯ブラシです。
テーパード毛は、毛先に行くにつれて細くなっているタイプで、毛先が細くしなやかな作りになっています。
毛先が細くコシが弱いため、ラウンド毛よりも汚れの落としやすさでは劣りますが、歯周ポケット(歯と歯ぐきの隙間)に入り込み、奥に入り込んだ汚れまで掻き出すことができます。
腫れてしまった歯肉にも負担が少ないので、オーバーブラッシングによって傷ついてしまった歯茎にも優しくアプローチできます。
正しい歯の磨き方を身につける
歯ブラシのキホン
頑張ってハミガキをしようとすればするほど手に力が入ってしまい、歯ブラシを歯や歯茎にあてる力が強くなりすぎてしまいがちです。
一般的に適切なブラッシング圧は100g〜200g程度。歯ブラシの毛先を歯に当てたときに毛先が広がらないくらいの力加減と言われています。
そんなに弱い力で磨いてちゃんと磨けているのかと不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、歯ブラシがきちんと歯に当たっていれば、軽い圧でプラークを除去することができます。
1.ペンと同じ持ち方で、優しく握りましょう
歯ブラシの持ち方には、手のひらで握るように持つ「パームグリップ」という持ち方と、ペンを握るように持つ「ペングリップ」という持ち方があります。
「ペングリップ」は余計な力が入りにくく、細かく磨くことができますので、当院では基本的にペングリップの持ち方でハミガキをすることをおススメしています。
「パームグリップ」の持ち方の場合、力の加減の調整がしにくブラッシング圧がペングリップより強くかかる傾向がありますのでオーバーブラッシングの傾向がある方は持ち方をペングリップに変えてみるとよいでしょう。
ブラッシング圧が分からない場合は、歯科衛生士からブラッシング指導を受けることをおすすめします。
2.細かく「チキチキ」動かしましょう
歯をみがく音は「シャカシャカ」といわれていますが、丁度いい力で動かすと「チキチキ」くらいの音しかしません。年齢を問わず、強く当てて大きく動かしすぎの方が多いです。
優しい力で、0.51cmくらいの範囲で動かしましょう。
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