音のならない歯ぎしりに注意
2021/09/22
こんにちは。下高井戸の歯医者、カズデンタルクリニックです。
皆さん、「歯ぎしり」というと、どのようなものをイメージされますでしょうか?
「ギリギリ、ギシギシ」と大きな音を立てて歯を軋る癖。
家族や一緒に寝ている同居人に迷惑が掛かてしまう癖。
多くの方はそのようなイメージをお持ちなのではと思います。
睡眠中に無意識におこなわれる習癖であることから自覚しにくく、ご家族や同居人に指摘されてご相談にいらっしゃる患者さまが多いのが特徴です。
しかしながら、歯ぎしりの中には、「音のならないタイプ」のものもあり、ご自身もちろんのこと、周りの人にも気づいてもらえない場合もあります。
中には、
「音がしないのであれば周りに迷惑かけないし、放っておいても大丈夫なのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、歯ぎしりのデメリットは周囲に迷惑をかけるという事だけではありません。
ご自身の顎の周りの筋肉に、起きているときにはないような異常な力が加わることにより、このため歯が極端に磨耗したり、歯を支えている歯槽骨が壊れて歯周病の原因になったり、顎の関節が痛んだり、首の周りの筋肉が凝ったりと不快な症状がでることも多いのです。
本日は、さまざまタイプの歯ぎしりとその対策についてご紹介させていただきます。
歯ぎしりの3つのタイプ
一言で「歯ぎしり」と言っても、その歯の合わせ方によって、主に下記の3種類に分けられます。
グラインディング
グラインディングとは、 上下の歯を強く噛んだ状態で横に滑らせこすり合わせるタイプの歯ぎしりです。
一般的に「歯ぎしり」というと、このタイプを想像される方が多いのではないでしょうか?
多くの場合はギシギシギリギリと音がしますので、比較的周りの人に気が付いてもらいやすい症状と言えるでしょう。
お口の中を拝見すると、歯の「すり減り」が激しいのが特徴で、進行すると歯の表面の硬くて白いエナメル質が削れてしまい、中の黄色い象牙質の部分が見えてしまうほどの人もいます。
また、歯は上下の力に対しては比較的強いのですが、横に揺さぶられるには弱いため、歯槽骨へのダメージも大きくなってしまいます。
クレンチング
クレンチングとは、 上下の歯をギューッと強い力で噛みこむタイプの歯ぎしりで、いわゆる「食いしばり」と表現されることもあります。
音が出ないのが特徴のため、周りの人も本人も、気が付きにくいタイプと言えるでしょう。
クレンチングをしている人は、頬の筋肉に力が入るため堅く膨らんで見えたり、お口の中に骨隆起と呼ばれる、骨が膨らんでできたコブのようなものがあったりします。
また、歯が割れやすいという方も、このクレンチングタイプの方に多く見られます。
タッピング
タッピングとは、上下の歯をぶつけ合って、カチカチと噛み合わせるタイプの歯ぎしりです。
タッピングは、歯ぎしりのタイプとしては比較的珍しく、歯や顎へのダメージも、グランディングやクレンチングと比べれば、それほど大きくはありません。
寝ていいるときも、起きている時も起こりますが、カチカチと音が鳴りますので、自覚しやすいタイプと言えるでしょう。
周りへの迷惑だけではない。歯ぎしりがもたらす悪影響
歯ぎしりの弊害は、一緒に寝てる人に迷惑をかけるという事だけではありません。
ご自身の歯や顎、顔貌にも大きな影響を及ぼしてしまいます。
歯が摩耗してしまう(すり減り)
歯と歯を必要以上の力で摺り合わせることによって歯がどんどん削られてしまい、短くなってしまいます。
また、歯の咬み合わせの面(咬合面)が削れることで正しい噛み合せの位置も分からなくなってしまうこともあります。
歯周病が悪化する
歯ぎしりによる強い力で歯が揺さぶられることで、それを支える顎骨が徐々に溶かされ始めてしまいます。
そして歯と歯茎の隙間が広がるとそこに細菌が入り込みやすくなりますので、歯周病が悪化してしまう原因になります。
顎関節症になる
歯ぎしりによって顎周辺の筋肉が過度に緊張している状態が続くと、咀嚼筋や靭帯など顎口腔に大きな負担がかかり、顎関節症を引き起こす原因となります。
また、歯のすり減りによって噛み合わせが崩れてしまう事も、顎関節症を発症させる原因となります。
お口元のしわが増える
歯ぎしりによって歯が擦り減ってしまうと、その分噛み合わせが低くなってしまいます。
噛み合わせが低くなると、口角が下がり、お口元のシワが目立つようになり頬が全体的にたるんだように見えてしまうため、老けて見えるようになってしまいます。
「歯ぎしり」を改善するには
歯ぎしりの治療法としては、就寝時にマウスピースを装着して歯を守る方法がとられることが一般的です。
1、スプリント治療(マウスピースによる治療)
スプリント治療とは、睡眠時にマウスピースを装着することで、夜間無意識に行われる歯ぎしりや食いしばり、かみこみで生じる顎関節や筋肉への負担を軽減させる治療法です。
スプリント治療もマッサージと同様、患者さまに負担の少ない可逆的な治療法として気軽に試せる治療法と言っても良いでしょう。
最近では、ご自身で作成できる市販のマウスピースなども売られていますが、顎関節症の治療で使用する場合、歯や顎に合わないマウスピースを使用してしまうと、逆に症状が悪化してしまうこともあります。
顎関節症の方は必ず歯科医院にてご自身の噛み合わせをしっかり診断してもらった上でマウスピースを作成するようにして下さい。
2、認知行動療法
日常的に目にする手帳やパソコン画面の空きスペースに「食いしばらない!」「リラックス!」などと書かれた付箋を貼っておくことで、ご自身が食いしばりをしているという事に気づかせる、という方法です。
食いしばりの癖を治すには、まずご自身が食いしばりをしているという事に気が付くという事が一番のポイントになりますので、うまくいけば半永久的に効果がある治療法と言えるでしょう。
しかしながら、効果の即効性がないことや、本人の努力次第で治療の成果が左右されるので効果が出ない人も多いこと、夜間の歯ぎしりには対応できないというデメリットもあります。
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